皆様お元気にお過ごしのことと存じます。
澄み切った冷たい夜空に星が美しいころです。
昨日は、歌舞伎ファンの年上の友人の配慮で博多座の前から3番目の席に
ありがたいことに、お席をとっていただき、心の高揚感を感じるすばらしい舞台を
楽しませていただきました。
市川猿翁さんが創始した歌舞伎の新たなスタイルのことで、現代人の感性に響く
物語やスピーデイーでスペクタルな演出に特徴があります。
私も三国志は、市川猿翁さん時代から2回目の博多座行きでした。
上演の時間を短く、時代の気風を敏感にキャッチし、さまざまは状況に応じて
柔軟に取り組む市川猿之助さん。
2011年の東日本大震災、それからコロナによる休館による歌舞伎の公演には試練の時が
ありました。長い作品や終演時間が遅い公演から人が遠ざかり、市川猿之助さんの取組みが
始まったそうです。
時代に柔軟に変化していくこと。三国志は初演以来、作品の根幹を貫いている「夢見る力」
というテーマが、終始感じられます。平和な時代、人が人として生きれる時代を夢見る力。
桃の花びらが天井から舞い散る博多座は、明日への力をいただいたような気がしました。
桃の花の開花も、もうすぐ。一節から2つの花をつける桃の花。
一日も早く、地に平和が戻ってほしいものです。
井口知子