芸術の秋といわれるように、秋の気配を感じますと、美術館もコンサートホールも活気がでてきますね。
福岡県の筑後平野、久留米市は、ブリジストンタイヤの発祥の地としても有名です。
明治、22年に出生された石橋正二郎さん。家業の仕立て物業の「志まや」を繼ぎ、
アサヒ時下足袋から、日本初のタイヤ作りに挑戦し、ブリジストンタイヤとして有名に
なりました。その後の発展はご存知のとおりです。地下足袋の裏にゴムを使っていた
のが、タイヤ産業へとつながるのです。
図書館、美術館も建設寄与され、東京にもブリジストン美術館も建てられました。
福岡県久留米は、石橋正二郎さんの出生の地でありますが、多くの石橋さんが寄与
された学校や、土地があり、久留米市の名誉市民の称号も受けられております。
その、久留米の石橋さんの寄与のひとつでもある、石橋美術館に行ってきましたが
ピカソ、ルノワールといった名画が多く出展されており、日本庭園も有名ですが、その
庭のイチョウも木も色づき、秋の気持ちのよい1日を過ごしました。
石橋正二郎さんが歩んだ時代は、日清、日露の戦争から、日中戦争、太平洋戦争
と大戦の連続で、未曾有の激動期でした。正二郎さんが全国的に発展するような
事業で、世のためになることをしたいと夢を描いたのは、17歳で家業を継いだ時
だそうです。87歳という生涯を通して志を貫らぬかれた、人生哲学の中で言われた
言葉をご紹介します。
最高の品質で社会に貢献 、、、 社是に制定されたお言葉です。
久留米の荘島小学校を卒業された石橋正二郎さんは母校にこの言葉を贈られています。 げんきに学んで正しくすすむ
熟慮断行
人は必ずその生涯に、進退、左右、得喪を決する二者択一の岐路に遭遇する。
このとき、よく事の本末、緩急を勘案し熟慮断行することが大切で、妄動或いは逡巡
し機を逸し、断を誤ってはならぬ。
若い人々に
人間は学問をすることによって天性の才能と知恵がみがかれ、知識も広くなり、ます
ます良い仕事ができるようになる。人間完成のためにも、職業につくためにも学問
は必要である。しかし、学校に行かぬと学問はできないとか、また学問だけが人の
運命を左右するなどと思い過ごしてはならない。
世の中は日々が学問である。心がけ次第で学歴もない人が大学卒以上の人となる。
大学出だからなどと自惚れるようであれば学問は邪魔ともなろう。
こういうことをよくかみわけて、家庭の事情なりあるいはいろいろなことを考えて
世の中はスタートすることが大切である。 「回想記より」
石橋正二郎生誕120年記念事業実行委員会の発行物より引用させていただきました。
名島屋 井口知子